忍者ブログ
主にサイトに置けない様な小話・会話文などが投下されます。 CP入り乱れ注意。
2024/05/19  [PR]
 

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


気が付けば前の更新が凄く前でした。
前の話の骸サイドを元々書くつもりでいたのですが、大分時間が経ってしまって新しい本誌が出てしまってるのですが、気にしない方向で(笑)
まだクロームと会う前の時系列です。



もうもうと立ち込める爆煙の中、フランと共に姿を現す。
十年振りに出た外の世界はすっかり筋力の落ちてしまった身体にはとても酷だったけれども、今の状況ではそんな事も言っていられないのも事実で。
骸はよろめく身体を三叉槍で何とか支えながら、久し振りに感じる重力にそれでも喜びを覚えた。
「さて…どうしたものか」
目の前に立つ存在はふざけているとしか言いようのないもので、骸を以ってしても対処に困るものだった。
しかしこれをどうにかしない事にはきっと、勝利はないのだろう。
幻覚かそれとも己の身体を使った肉弾戦で挑むか、凄まじい程のスピードで何パターンもの計算を繰り返しながら、骸は少しずつ敵との差を詰めていく。
気を抜けば倒れ込みそうな程身体は悲鳴を上げていたが、それには聞こえない振りをした。
一歩、また一歩と足を踏み出し決意を込めて槍を振りかざそうとしたその時。

「骸…っ!」

白煙の向こうから、呼ばれた気がした。
まさか、けれど彼の声を聞き間違える訳がない。
信じられない思いで骸は作戦も何も吹き飛び、ただただ立ち尽くす。
駄目だ。
振り返っては、駄目。
今彼を見たら決心が鈍ってしまう。
しかし彼の存在を確かめて勇気が欲しい。
そんなジレンマに苛まれながら骸はもう一歩、踏み出した。

槍を高く振り上げながら盗み見た彼は、どうしてか、滲んて見えた。

拍手

PR
この記事にコメントする

name
title
color
URL
comment
password
prev  home  next
忍者ブログ [PR]
  (design by 夜井)